畜産の基盤、放牧/野外飼養を止めるな!!
日本の放牧養豚を維持・拡大させて行こう!!
家畜飼養衛生管理基準から、放牧場・パドックの中止を削除させよう!!
農林水産省の家畜飼養衛生基準についてのパブリックコメントに放牧維持の声をあげていこう!! 




▲ 放牧は衛生環境維持の原点、ウイルス感染要素の3密(密閉、密集、密接)から最も離れた、3疎(開放、分離、分散)を体現している


▲ 放牧は、グループ/群としての家畜のコミュニテーを築く


▲ 豚もジャンプ! 我々も負けずに放牧継続を訴えよう
※写真は、佐渡島での放牧養豚の様子。現在も継続中



NPO法人 日本放牧養豚研究会では、農林水産省に意見書を提出しました。6月に入ってから放牧禁止の動きに反対の声が沸きあがってきています。この規則の改正は、今年7月1日といわれます。なんとしても、これを阻止するためにみなさんのご理解とご協力をお願いいたします。


放牧養豚への理解の為に

NPO特定非営利活動法人
日本放牧養豚研究会 理事長  山下哲生
2020年6月30日


放牧は畜産従事者の理想

 放牧は、畜産においては、畜種を問わず生産の理想とされるもので、長い歴史のなかで家畜と人類の共生の上で築き上げられたものである。
 家畜を飼養する上での理想は、家畜をその習性を熟知した「管理者=牧夫=ストックマン」が、家畜にストレスを与えず、その最良の成長、成績を上げることにある。

 豚の放牧は、イギリスで盛んで、イギリスの繁殖母豚50万頭のうち40%に相当する20万頭は野外で放牧飼養されている。また、その成績も舎飼と変わらない(2017年 グローバルピッグファーム報告)。

 欧米で主流となっている養豚のアニマルウェルフェアのさまざまな基準=ガイドラインは、イギリスの放牧養豚の実践と研究成果から生まれている。
 放牧養豚は、農業に活力をもたらし、やりがいと資本がかからないことから特に若者の養豚業への参入を促進している。

 イギリスは現在 養豚農場数は1万戸を超え、またイギリスの消費者もこれを支持し、「グレート・アウトドア」、「ハッピーピッグ」、「グリーン」などのブランドで出回っている放牧養豚由来の豚肉を、輸入物より高価格であっても購入している。「ストレスフリーの放牧=行動の自由」から生まれた肉質は、高価格であっても国産物を購入するという消費行動を下支えしている。

 2000年8月、イギリスでは東部3州で16農場で豚コレラが発生した。このうち5農場は放牧養豚場であり、伝播防止のため4万頭が殺処分された。その結果、4カ月後の11月には終息が宣言された。
 その後の徹底した疫学調査の結果、残飯、車輌、豚、人の移動による感染は認められたが、野生鳥獣などの感染は認められなかった。そして前述のように放牧養豚は、むしろ拡大・発展しつつある。


放牧規制への疑問


 現在、日本のみならず世界で問題となっている新型コロナウイルスの感染原因は、「3密=密集、密接、密閉」で、その対極にある「3疎=分散、分離、開放」は、まさに放牧場、パドックなどの開放空間をもった放牧型畜産の真骨頂であり、放牧は、感染機会を大幅に低下させ健康を増進させる。

 イギリスの事例からもわかるように、ウイルス性の疾病は、空間的、距離的な自然防御により、野生鳥獣からの病原菌、ウイルスの感染は非常に少ないと考えられる。また豚に関しては、これら野外の鳥獣(舎飼にも共通するネズミやハエは除く)による直接の感染例は報告されていない

 豚熱(CSF)発生地域では、ワクチンの100%接種および外部との柵による分離、消毒の強化が全農場で行われている。ワクチン接種以降、農場ではまったく豚熱は発生していない。
 このような状況下で、なぜ、豚熱ワクチン接種地域に限定して放牧、パドック禁止に動くのか、現在の方向は、畜産衰退へのロードマップとなりかねないと考える。

※今回の放牧禁止の動きは、馬を除き、牛、羊、鹿、家禽などのほかの家畜にも及び、これらについては、10月から適用が予定されている。日本では、舎飼なら安全・衛生的、野外は不衛生との観念が家畜衛生関係者の間にも根強よくあるようである。


NPO 特定非営利活動法人
日本放牧養豚研究会 理事長 山下哲生
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